2024.09.12 2024.09.20

Anthropic社が開発したClaudeの機能と活用法を解説

a.shimegi

「Claude」はAnthropic社が開発した対話型生成AIです。

ChatGPTに追いつき追い越せと日々進化を続けるClaudeですが、最新の「Claude 3.5 Sonnet」では、その能力が飛躍的に向上しました。

特に自然な対話や長文の処理、コード生成や倫理性の面で優れており、ChatGPTを超える性能を持つと評価されています。

この記事では、Claudeの基本情報とその特徴、そして実際にビジネスや日常生活でAIを効果的に活用する方法を解説します。

Anthropic社はClaudeの開発元

Claude

anthropicは会社名、ClaudeはAIの名前、SonnetやOpusはAIのモデルの名前です！

Anthropic社とClaudeは、AIの分野で急速に注目を集めている企業とモデルです。ここでは、両者について説明します。

Anthropic社は、AIの安全性と倫理性を重視しながら、先進的な言語モデルの開発に取り組んでいるスタートアップ企業です。2021年に設立されたばかりの若い企業ですが、その革新的なアプローチと高性能なAIモデルで業界に大きなインパクトを与えています。

Claudeは、Anthropic社が開発した大規模言語モデルです。OpenAIのGPTシリーズと並んで、最も高性能な汎用AIの一つとして認識されています。

Claudeの特徴は以下の通りです。

高い言語理解能力と生成能力
倫理的な判断と安全性への配慮
長文の処理や複雑なタスクへの対応力
マルチモーダル機能（テキストと画像の処理）

Claudeは、ビジネス利用からクリエイティブな作業まで、幅広い用途に活用されています。特に自然な対話、長文処理、コード生成、倫理性の面では、ChatGPTを超える性能を持つと評価されています。

Claudeが注目を集める3つの理由

Anthropic社が開発したClaudeは、近年急速に注目を集めています。その理由として、以下の3つが挙げられます。

注目の理由1｜GPT-4に匹敵する高性能を低コストで実現

Claudeは、OpenAIのGPT-4に匹敵する高い性能を持っています。特に最新のClaude 3.5 Sonnetでは、処理速度や精度が大幅に向上し、多くのタスクでGPT-4を上回る性能を発揮しています。

ClaudeはGPT-4よりも高い性能を持ちながら、月額料金は同じ20ドルなので、より低コストで利用できることが大きな魅力です。

注目の理由2｜APIによる外部サービスとの連携が可能

ClaudeはAPIを通じて外部のサービスやツールと連携することができます。これにより、単なる対話型の生成AIを超えた幅広い活用が可能になっています。

例えば、スプレットシートやエクセルを含むデータベースとの連携、画像生成AIとの組み合わせ、カレンダーアプリとの連携などが実現できます。

このAPIの柔軟性により、企業は自社のニーズに合わせたカスタマイズされた業務効率化を進められるようになりました。

項目（100万トークンあたり）	Claude	GPT-4
入力コスト	$3	$30
出力コスト	$15	$60

日本語の場合、100万トークンは約50万〜100万文字に相当

APIの利用料金についてもリーズナブルに使うことができます。この表からもわかるように、GPT-4と比較して、入力コストは10分の1。出力コストは4分の1で活用することが可能です。

Anthropic APIにアクセスするURLはこちら

注目の理由3｜日本語を含む多言語に対応

Claudeは英語以外の言語でも高い性能を発揮します。日本語も対応しており、従来の生成AIと比べても自然なコミュニケーションが可能です。

これにより、日本企業や日本語を主に使用するユーザーにとっても、Claudeは非常に使いやすいAIツールとなっています。さらに、翻訳や多言語でのコンテンツ生成など、グローバルなビジネスシーンでも活躍が期待されています。

このように、高性能、柔軟な連携、多言語対応という3つの特徴により、Claudeは今後さらに普及していくことが予想されます。AIの活用を検討している企業や個人にとって、有力な選択肢の一つとなるでしょう。

Claudeの具体的な活用方法と事例（プロンプト例）

Claudeは多様な用途に活用できる高性能なAIモデルです。以下では、実際の活用方法と具体的なプロンプト例を紹介します。

活用方法1｜作業効率化のためのシート関数を考えてもらう

Claudeはスプレッドシートの情報とやりたい動きを正確に伝えることができれば、対応可能な関数を出力してくれます。自分で調べて関数を作るよりもはるかに短く、頭を使わずに作業効率化を図ることが可能です。

B列の住所データ元に市区町村だけをC列に抽出したい場合の例を見てみましょう。

Claudeに現在のシートの状況とやりたい動きを伝えます。正確な回答を出させるためには、可能な限り具体的に説明するのがポイントです。

「GoogleスプレッドシートのB列に「千代田区三番町１２番地」「中央区日本橋馬喰町２－７－６」のように住所が入力してあります。「千代田区」「中央区」というように、市区町村の部分のみC列に抽出したいです。関数を教えてください。」

今回はこちらのプロンプトで試してみました。パターンがいくつかある場合はそれぞれの具体例を見せると効果的です。

出力された回答をもとに、コピーしてセルの番号だけ対応するように編集してみましょう。

すると、以下のように市区町村だけを抽出することができました。

エラーが出た場合は、そのエラー内容をコピペして「このようなエラーが出ました」と伝えるだけで、新たな回答を出力してくれます。

このように、Claudeを使えば関数の知識がなくても簡単に作業効率化を図ることが可能です。

活用方法2｜ビジネス文の生成でストレスを軽減

Claudeは、他の生成AIと比べて文章生成に優れていると評価されています。長文の要約はもちろん、少ない文章から具体的な内容を盛り込んで長文に増やすことも可能です。

すぐに活用できる方法としてビジネス文の生成を紹介します。

Claudeに自分と相手の立場、そして伝えたい内容を教えることで、チャットやメールのやり取りの文章を考えてもらうことが可能です。

例えば、取引先にお願いしていた資料データがまだ届いていないとします。この場合、相手に失礼のないようにしつつ、しっかりと要望を伝えなければなりません。

「あなたは優秀なビジネスマンです。取引先にお願いしていた資料データがまだ届いておらず催促をしたいです。失礼がないように、但し今日中に資料をもらえるようなメール文章を考えてください。」

このプロンプトを使用した結果が以下です。

このままコピペで送信という訳にはいきませんが、要望を明確にした上で失礼のない表現で催促できている文章になりました。

今まで余分に使っていたビジネスチャットでのストレスが格段に減り、自分で一から考えるよりも効率的に対処することが可能です。

活用方法3｜アーティファクト機能（Artifacts）でリアルタイムに調整できる

Claudeのアーティファクト機能は、生成されたコードやドキュメント、画像を視覚的に表示してくれる機能です。

生成されたコンテンツをリアルタイムでプレビューの確認できるので、対話しながら修正や調整を進めることができます。

例えば、こんなミニゲームを生成することも可能です。

かなり簡略化されていますが、実際に操作してゲームを動かすことができます。

アーティファクト機能を使うことで、知識がなくてもウェブアプリケーションや図表を作成することが可能です。

使用回数に制限がありますが、3.5 Sonnetの無料版でも利用することができるので、気になる方はぜひ試してみてください。

活用方法4｜Slackワークスペースとの連携でチームの生産性アップ

Claudeは外部ツールとの連携も可能です。例えば、SlackのアプリディレクトリからClaudeを追加することで、スレッド内での応答が可能になります。

具体的な使用方法としては以下のようなものがあります。

ダイレクトメッセージ：
@Claudeに直接メッセージを送ることで、1対1のチャットが可能
公開チャンネル:
チャンネル内で@Claudeにメンションすることで、Claudeがそのスレッドで応答。
スラッシュコマンド:
/claude helpのようなコマンドを使用して、Claudeの機能に関する情報を得られる。

他にも、長いSlackスレッドやウェブサイトの内容を要約して箇条書きやアクションアイテムを提供したり、会話を一目でわかる表に変換するなど、チームの生産性とコミュニケーションを向上させることが可能です。

Claude App for SlackはEnterprise Gridでのみ利用可能

これらの活用例は、Claudeの多様な機能の一部に過ぎません。ユーザーのニーズに応じて、さらに多くの使用方法を見出すことができるでしょう。

ClaudeとChatGPTどっちが凄いの？

ChatGPTと比べてClaudeはどこが優れているのでしょうか。

ここでは、最新バージョンのClaude 3.5 SonnetとGPT-4oを比較し、それぞれの特徴や強みを紹介します。

Claude 3.5 SonnetとGPT-4oの性能比較

ベンチマークスコア値は、コンピューターシステムやハードウェア、ソフトウェアの性能を数値化して評価するための指標です。

Anthropic社

の7つの項目でClaude 3.5 Sonnetは最高スコアを出しています。

大学院レベルの推論（GPQA, Diamond）
学部レベルの知識（MMLU）
コーディング（HumanEval）
多言語数学（MGSM）
テキストに基づく推論（DROP, F1スコア）
混合評価（BIG-Bench-Hard）
小学校レベルの数学（GSM8K）

全体的に最高または非常に高いスコアを示していますが、数学問題解決ではGPT-4oが上回っています。

Claude 3.5 SonnetとGPT-4oのコスト比較

Claude 3.5 SonnetはとGPT-4oの有料プランにおける月額料金はどちらも同じ20ドルです。性能の高さを比較するとClaude 3.5 Sonnetの方が同じ予算でパフォーマンスが高いといえます。

具体的に料金プランの比較は以下の通りです。

項目	Claude 3.5 Sonnet	GPT-4o
無料プラン	利用可能（約5時間ごとに10回程度）	利用可能（回数制限あり）
有料プラン	Proプラン（月額20ドル）	ChatGPT Plus（月額20ドル）
チームプラン	Teamプラン（月額30ドル/人、5人以上）	ChatGPT Team（月額25ドル/人）
API入力料金	$3 / 1M tokens	$5 / 1M tokens
API出力料金	$15 / 1M tokens	$15 / 1M tokens

両モデルとも無料版と有料版があり、基本的な料金構造は似ています。利用頻度や用途に応じて、適切なプランを選択することが重要です。

Claude 3.5 SonnetとGPT-4oの得意分野の違い

Claude 3.5 SonnetとGPT-4oは、どちらも高性能な大規模言語モデルですが、それぞれに得意分野の違いがあります。

Claude 3.5 Sonnetの得意分野

高度な指示理解力:
Claude 3.5 Sonnetは、複雑で詳細な指示をより正確に理解し、それに従って作業を行うことが得意です。
Artifacts機能:
スライド資料の作成やアプリの開発など、時間や手間のかかる作業を効率的に行うことができます。
3Dシミュレーション:
新製品の開発プレゼンテーションや研究発表などで活用できる3Dシミュレーションの制作が可能です。
高速な処理:
Claude 3 Opusの約2倍の処理速度を実現しており、複雑な指示にも迅速に対応できます。

GPT-4oの得意分野

マルチモーダル処理:
テキスト、音声、画像を同時に処理し、違和感なく統合することができます。
超高速な音声応答:
音声入力に対して、最短232ミリ秒（平均320ミリ秒）で応答することが可能です。
高度な画像生成:
ワンショットのリファレンスベースの画像生成や正確なテキスト描写が可能です。
多言語対応:
英語以外の言語においても優れた性能を発揮します。

両モデルとも高い性能を持っていますが、Claude 3.5 Sonnetは指示理解力と特定のタスク（Artifacts機能など）に強みがあり、GPT-4oはマルチモーダル処理と高速な音声応答に優れています。

文章やコードの生成に特化して使いたいのであればClaude、マルチな機能を広い分野で使いたいのであればChatGPTがおすすめです。

ChatGPTについては以下の記事で詳しく解説しています。

Claudeを利用する際の注意点

Claudeは非常に強力なAIアシスタントですが、利用に当たっては以下のような注意点や課題があります。適切に理解し対応することで、より安全かつ効果的にClaudeを活用できるでしょう。

個人情報や機密情報の取り扱いに気をつける

Claudeに個人情報や機密情報を入力することは避けるべきです。Claudeは情報を学習や保存することはありませんが、入力された情報は一時的にAnthropic社のサーバーで処理されます。そのため、セキュリティ上のリスクを完全に排除することはできません。

特に以下のような情報は入力しないよう注意が必要です。

氏名、住所、電話番号などの個人識別情報
クレジットカード番号や銀行口座情報
パスワードやアクセスキーなどの認証情報
企業の機密情報や未公開の事業計画

機密性の高い情報を扱う場合は、オンプレミス環境での利用や、専用のセキュアな環境の構築を検討しましょう。

出力内容の正確性を確認する

Claudeは膨大な情報を学習していますが、常に最新かつ正確な情報を提供できるわけではありません。特に以下のような場合は注意が必要です。

最新の出来事や情報に関する質問
専門的な知識を要する分野の質問
数値データや統計情報を含む回答

Claudeの出力はあくまで参考情報として扱い、重要な意思決定や公開する情報には必ず人間による確認や事実確認を行うべきです。特に法律や医療などの専門分野では、専門家への相談を併用することが重要です。

言語モデルの特性による制約がある

Claudeは強力な言語モデルですが、以下のような制約があります。

視覚や聴覚などの感覚を持たないため、画像や音声の詳細な解析はできません
実世界とのリアルタイムな相互作用ができないため、現在の天気や株価など、刻々と変化する情報は提供できません
長期的な記憶を持たないため、以前の会話の文脈を完全に理解し続けることはできません

これらの制約を理解し、Claudeの得意分野と苦手分野を把握した上で利用することが重要です。必要に応じて、他のツールや人間の判断と組み合わせて活用しましょう。

以上の注意点や課題を踏まえつつ、Claudeの強みを活かすことで、様々な場面で効果的に活用できるでしょう。常に最新の情報や利用ガイドラインを確認し、適切な運用を心がけることが大切です。

まとめ

Anthropic Claudeは、次世代AI開発のスタートアップ企業Anthropicが開発した革新的な大規模言語モデルです。GPT-4oに匹敵する高性能を低コストで実現し、APIによる外部サービスとの連携や多言語対応が可能な点が大きな特徴です。

Claudeは自然な対話形式での質問応答システムの構築や、長文の要約作成支援、プログラミングのサポートなど、幅広い用途で活用できます。最新の「Claude 3.5 Sonnet」では、さらに高度な推論能力や創造性を発揮し、GPT-4oとの比較でも優位性を示しています。

一方で、個人情報や機密情報の取り扱いや出力内容の正確性には注意が必要です。言語モデルの特性による制約もありますが、適切に活用することで業務効率化や新たな価値創造につながる可能性を秘めています。

Anthropic Claudeは、AI技術の進化を体現する先進的なツールとして、今後さらなる発展が期待されます。ビジネスや日常生活での活用を検討する際は、その特徴や注意点を十分に理解した上で、効果的に利用することが大切です。

AI技術の可能性を最大限に引き出すため、Anthropic Claudeの活用方法や最新の機能について、継続的に情報をアップデートしていくことをおすすめします。

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